大判例

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東京高等裁判所 昭和61年(て)5号 決定

所論は,要するに,本件は,東京都千代田区永田町に所在する自由民主党本部が中核派革命軍の2台の火炎車によつて放火されたという事案につき被告人がその犯人であるとして東京地方裁判所に公訴を提起され,同刑事部に係属して審理中のものであるところ,公判審理にあたつては法廷の内外において異常なまでに厳重な警備体制がとられているほか,審理を担当する裁判長は,被告人に対する不当な密着戒護を容認し,また,主任弁護人に対し感情的な制裁を科してその弁護権を規制し,更には職権を濫用して違法な期日指定を行い,公判審理を強行するなど,一貫して不公平な訴訟指揮及び法廷警察権の行使を重ねており,それはまさに東京地方裁判所及び同裁判所に所属する裁判官が,首都中枢において発生した衝撃的事件についてのセンセーシヨナルなマスコミ報道の影響を受け,予断と偏見にとらわれた結果,いたずらに被告人に対する処罰感情におぼれているからにほかならないのであつて,このような訴訟の状況に照らし,東京地方裁判所における審理によつては裁判の公平を維持することができない虞があるので,本案事件の管轄を横浜地方裁判所に移転することを求める,というのである。

しかしながら,本案事件に関する所論のような報道がなされたからといつて,これにより東京地方裁判所の裁判官らが直接,間接に影響を受け,事案についての予断と偏見を抱くに至つているとは到底考えられない。その他,所論がるる訴える諸点の実質は,結局,本案の審理を担当する裁判長の訴訟指揮ないし法廷警察権の行使若しくは庁舎管理権者の権限行使を論難するに帰し,いずれも刑訴法17条2項,1項2号所定の管轄移転請求ができる場合にはあたらない。

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